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病理診断科への期待

病理医の先生方へ:
乳がん患者会「わかば会」代表の寺田佐代子と申します。
病理診断サービスのニーズ調査をした者です。
あの集計結果だけでは、思いも伝わりにくいと思うので、補足します。
下記抄録、第97回日本病理学会総会(金沢市)の市民公開講座に患者として招かれましたので、その抄録内容本文です。このように書きました。
乳がん患者会の活動を始めて5年が経ちました。多くの患者仲間と話す機会があり、病理診断の重要性を感じています。病理診断の内容の説明は主治医によって行われていますが、患者としては、その病理診断の説明を直接病理医にしてほしいのです。これは、患者が病理診断の内容、意味を知りたい場合です。がん患者の多くは、手術後落ち着いてくると、自分の「がん細胞」は一体どういう種類のものか知りたくなります。そのとき、病理診断科がなく、医療保険適用もなければ、患者は医療保険を使って「知る権利」を得ることが不可能なのです。情報公開の意味でも開かれた医療とはいえません。納得いく説明が得られないのも現状です。病理診断をした「病理医」に会えないのも、説明を受けることができないのも、おかしなことだと、素朴な疑問を感じています。病理医の先生方は、病理診断がどのように患者に説明されていると想像しますか?自分で説明したい部分はないのでしょうか?患者は、病理診断を「間接的に聞く」のがほとんど。医学知識に乏しい患者だからこそ、専門家の説明がほしいのです。納得いく治療、インフォームド・コンセントのために、患者に病理診断を説明する、顔のみえる病理医が増えることを期待します。
今回、病理医の先生方と話すなかで、ご意見聞くチャンスもあり、様々な状況等も、耳に入ってきます。それぞれのお立場での、ご意見があるのは、もっともなことだと思います。今一度、患者の意見として申し上げたいので、書かせていただきます。
患者は、病理診断の説明を専門家から聞きたい
これは、素朴な要望です。主治医にも説明はしていただきますが、あまり詳しくは説明できないというのが通常のようです。病理診断は病理医のしたものです。その詳細の説明がほしい場合、現在では、医療保険を使って、自由に診察予約したりする科がない。主治医に病理医の説明を受けたいといっても、対応してくれるところは、少ないはず。まず、混みあう外科外来に病理医のドクターを迎えて、三者懇談のような席設定は現実的に無理。
患者の要望があれば、病理診断を病理医が説明するということが、これは、どの場面で可能か?また、実際なされているのか?を、考えてみてほしいです。
実際、患者の要望に答える、サービスで、病理診断説明をしたことがあるという病理医の先生もいらっしゃいますが、これは、医療行為のなかで、医療保険点数がついていないのも、本当はおかしな話だと思いませんか?私は、おかしな話だと思っています。セカンドオピニオン外来で、可能になっているところはあるようですが、それは一部であり、多くの場合に適用可能な状態ではないです。そもそも、患者がまず聞きたいのは、ファーストオピニオンの詳細なのです。自費、あるいは、自由診療のような位置づけで、努力されているところもあるようですが。
患者が求めるときに、外来に病理科があって、週に1曜日でも稼動していれば、自由に予約できたり、病理外来があって、訪れれば、可能である・・という状況のあることを望みます。患者は、任意で、聞きたいときに、病理診断を説明してほしいのです。
・・・しかし、このような業務ができたら、病理医の不足も深刻。いまでさえ、時間いっぱいの仕事をしているのに、どうなるのか!!??
・・・これには、なんとも申し上げようがない。患者としては、ハイ、スミマセン・・??
では、残念無念。
ぜひとも、可能な道を探ってほしい。可能な場所でまず稼動してもらい、先陣をきってもらう。そのためには、病理外来(仮称)?が可能になるには、医療保険点数がつかなくては、無理でしょう?だから、保険点数もつけてほしいと患者は思っているのです。
厚労省にも、そう申し上げました。これは、患者の視点で、病理医の先生方には、困った要望だと、お思いでしょうか?
でも、もし、そうなれば、他の臨床科と同じく、病理診断科も医師の診断、説明の診療科として、定着し、医療行為として、業務が院内でも成り立つのでは?無償の説明をしているところもある・・・こころあるところでは患者の求めるときはしている・・・といわれたら、それ以上進展しません。広く、社会一般に、通常の医療として存在してほしいのです。
そうであれば、患者は、「聞きたいとき」に「聞きたい人」が行くし、いく限りは、当然、病理診断の非常に「悪い状況」を知ることになっても、それを求めていく患者の任意責任、自己責任で、病理診断のドクターが悪いことを言ったという、そういう思いが患者はしないと思う。確かに、「あなたのがん細胞は、とても浸潤性の高い、悪いタイプ」と言われたとしたらショックです。でも、がん告知もすでに済んでいる患者。自分のがん細胞の真実をきくこと、事実として、受け止める覚悟もあります。そういう患者がききにいくのです。でなければ、医療保険を使える状況になったとして、患者がお金を払って、診断説明を聞きに行くとしたら、患者の選択行為なのです。病理医の先生が、患者がそんなこと聞いて、ますます落ち込むのではないか・・・と、心配するのはありがたいことですが、そうではなく、むしろ事実を告げ、今後の治療は主治医とよく相談するように・・・と励ましていただければ、患者は納得します。積極的に治療に臨めます。
そして、主治医にもその説明内容が把握できるように、カルテに記載するとか、連携、連絡を緻密にリアルにしていってほしい。
どうも、病理医の先生の中には、そういう事実を話すことで、患者に悪い影響があるのではいかとか、主治医との連携がうまくいくだろうか・・と、懸念するようですが、むしろ、逆だと患者は思っています。がんなのですから、悪いことはもう知っています。そこで、病理診断についてもしっかりした説明をしてほしいのです。
主治医が患者の気持ちを配慮して、あいまいにしたり、主治医もしっかり病理診断の微妙な部分でわかっていない状態があったりしたら、本質的には、治療のインフォームド・コンセントにもつながらない。患者は、自分のがんのタイプを知ろうと言うときは、積極的要望であり、治療も積極的にしようと思うからこそ、知りたいのです。
患者が病理診断の詳細をききたいときというのは、術後、しばらくたってから、おちついた時期の場合が多いです。患者が病理診断の説明を受けに、外来?に予約したいと思うのは、おそらく、手術後、治療選択をする際が一番多いのではないでしょうか?
絶対数としては、そんなに多くないと思う。
今日も、いま、このことを書いている最中に、新しい術後の患者さんが電話ありました。主治医に、病理診断の結果をもらったが、英語で書いてあるんで・・・説明受けたけど、なんのことだかわからず・・・。
・・・リンパ節転移はなかった。温存で手術後1ヶ月。1.1センチの腫瘍。化学療法を薦められた、次回までに決断してくるように言われたが・・・・と。
私は、ホルモン療法がきくタイプかどうか?とお聞きしましたら、それはどうなのか?わからないし、これ(おそらく病理診断書)をみても、どれをみていいのかわからない・・・と。ですから、今度、もう一度、主治医に、ホルモン療法が効くタイプかどうかをきき、化学療法をすると、どれだけリスクが減るのかもきき、副作用もきき、そして、主治医は、どうするのがいいと思うかもきき、判断してください・・・とお答えしました。
手術後、誰に相談していいのかも、わからず、今日、外来で、患者会のチラシを見つけて、早速寺田さんに電話しました・・・とのことでした。
私は、医療者ではないので、経験的なことで、わかることしかいえないし、治療の選択をどうこういうことはできません。でも、すくなくとも、治療の決断のめやすになる病理診断の説明が十分でないことを感じます。
これを、病理医の先生がしっかりしてくれたら、患者は本当に助かります。
主治医も、病理診断書を渡せば、患者が読んで、わかるとでも思うのでしょうか?おそらく、外来は 忙しく、十分な時間をかけられないのでしょうね。
こんなことが、本当に多いのですよ。
病理診断の説明に、医療保険点数をつけたとしても、実際、医療保険がパンクするような数値にはならないはず。ただ、医師にとっては、この保険点数の満足度がモノいうかもしれませんが、これは点数によって、仕事の量を加減することで、説明時間配分とかも算出すればいいと思います。
患者の完全予約制をとり、予約日も曜日限定にすれば、病理医の不足もなんとかクリアできる範囲では、ないでしょうか?
たとえば、病理外来?を作ったとして、週に、2時間から3時間の設定で、予約があれば入れる。その分の仕事のしわ寄せは、何らかの業務の合理化で、解決できないでしょうか?毎日、患者が押し寄せるなんてことは、まずないでしょう。
病理診断をききたいときに、ききにいける、システム作りを求めています。
それには、厚労省が、保険点数をつけることを検討してくれたり、病理学会のほうでも、病理外来?が設営できるところには、できうるようにバックアップしたり、なんらかの具体案、可能な道作りをして欲しい。これを患者が、求めているだけです。
まず、病理医のなかでの認識、対応策を検討してほしいですね。何もしないうちに、「無理」と決めてしまわないで。
全体、総合で、病理医学会のなかでの、コンセンサスを得ることも非常に大切だと、思います。しかし、全員一致は難しいと思います。でも、患者ニーズに答えるという姿勢もあって欲しい。患者は、十分でないから、ニーズを訴えているのです。そこを考えてほしい。
医療側が、「患者への病理診断説明は十分にやっている」というのであれば、患者は、満足しているはずです。
病理診断科を作ることに対してYESといったら、外来をしなければならないのか・・・という懸念もあるでしょう。
しかし、まずは、システム可能にし、(標榜、病理外来医療保険適用)、稼動できる道がなければ、始まりません。
病理の先生方の中には、患者に直接説明し、臨床に関わってもいいという方もいらっしゃると思いますし、基礎研究、病理診断に専念したいという先生もいらっしゃると思います。
だとしたら、前者の方々で、集まって、可能な道を探し、それを日本病理学会もバックアップしていくような姿勢を作っていただきたいと思います。
病理診断科標榜と、病理診断科での医療保険適用での病理診断説明。この2者は、ベツモノだと思いますが、患者としては、病理科標榜は、患者サービスも同時に行えるのが望ましいと思います。病理診断をした専門家の説明をききたい。これは、とても自然な要望だと思います。主治医は主治医。病理診断の専門でないかぎりは、ペーパー上の結果説明するだけで、病理診断の深いところでの情報を得ることは、ある意味で知る権利を得ることであり、医療の側からいえば、情報公開に値することで、とても重要なことだと思います。
病理診断科標榜を厚労省に要望した。これだけでもすごいこと。患者への説明を保険点数化することまで要求したら、もっと大事な要望まで、却下されたら困る。こんなコメントも知りました。
厚労省の判断基準がどこにあるのかは想像できません。しかし、前者と病理学会の要望とするならば、後者は、患者ニーズに答える準備として、提案すればよろしいのでは?
また、患者ニーズにこたえるにしても、具体案がいるでしょうから、全国規模で可能な方法の模索も必要でしょう。これについては、病理学会での多くの意見交換が必要かと思います。まず、議論して、そして、可能な道を探す。これをやってほしいですね。
厚労省の判断は、専門家集団ですから、社会のニーズにあって、最もな方法で、決断すると思います。公的な判断をすると思うので、なにもかも正直に、具体的に、要望、提案、別々にきっちりとすればいいのでは?と思ってしまいますが。
私は、介護の仕事を7年していました。今年、介護保険で、利用者ニーズから、末期がんが特定疾病に加えられ、介護保険適用になりました。しかし、これを実施している事業者はまだないに等しい。訪問看護の部分では、末期がん患者の訪問看護はしているようですが、介護保険での、ケアは、末期がん、在宅で受けられるのに、やっている事業所がない。それは、ヘルパーが末期がんの患者のケアをするだけのスキルを持ち得ないということで、どこの事業所も乗り出さないのが現状です。ヘルパー仲間、事業所経営者に聞くと、「末期がん?そんなあ、大変だし、できないよ」で、終わりです。このことをなんとかしたく、私は、今、ヘルパー資格、経験も生かして、患者会で、介護保険適用の在宅ケアの基準該当居宅サービスの指定を受けられないものか・・・と模索しています。要するに、この分野でも、法ができても、実施していないというヘンテコな現象ですが、これでは、いけないのですが、こういう例もあります。
病理診断外来を可能な道に作っていただき、保険点数をつけていただいても稼動しない結果では、保険点数をつける意味をなさないと思いますが、可能なみちをつくるには、標榜科として機能することが大切です。保険点数もつけば、説明も医療行為として、有償の医療行為として、可能であるようにシステムを整えることは、患者ニーズにこたえることにつながり、社会ニーズにかなうことだと、思います。
実施する側、病理医の先生方の深刻な問題も実際、山積しているとは想像しますが、しかしながら、社会のニーズに柔軟に変化していくことも、ある意味で、進展、進化だと思います。決して、病理医の都合だけで、話し合われていくのではなく、患者ニーズをしっかりとうけとめて欲しいと、お願い申しあげます。
急ぐことはない・・・よく話し合ってから・・・・というのも、大切かと思いますが、今、厚労省も、病理診断科の標榜を検討している真っ最中。このタイミングに、患者ニーズも知り、議論し、いい方向へ、向いていくことを心より期待します。
病理診断を説明することに対して保険点数がつくということは、医療行為として、公的な医療として、社会全体に普及することだと、思うし、これが、患者にとっては、非常に歓迎したいことであるということです。
そして、そうなったからといっても、すべてが同時にそうしなければいけないのではないでしょう。実際に、病院経営サイドで、それを実施しようということでなければ、またその担当する病理医がいて、その時間がとれなければ、実現しないでしょうし、この選択は、病理医だけではなく、病院、あるいは、病理診断科開業医が出てくる可能性にも関係するのでは?と思います。
まずは、患者ニーズをどうとらえるか?
そこから、議論していただけたら・・・と思います。
そのためにも、ニーズ調査をしました。
生の声は、もっとあれこれ山ほどあります。多くの実例、問題の起きたことなど、お話したいことは、沢山あります。
このニーズ調査は、ほんの一部です。
どうか、患者の思いを想像してください。
よろしくお願いします。 |
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2009年9月15日に、寺田さんから以下のような質問を受けました。
今日は、専門的な質問をさせてください。
私は、国立がんセンターがん対策情報センターの市民患者パネルをやっています。そこで、「患者必携」の冊子を作成する原稿の段階で、意見交換しています。そして、そこに登場する言葉について、私は疑問に思い、堤先生に質問します。
とりあげたほうがよい項目についてのアンケートがあります。その候補の多くの言葉のなかに「細胞診検査」「病理検査」とありますが、これは、いかがでしょうか?
「細胞診断」、「病理診断」。こういう言葉を使うべきではないのでしょうか??
国立がんセンター作成・発信の患者向け冊子です。税金投入してつくるのです。最新の情報であるべきですし、病理診断についての正しい知識を掲載してほしいと思います。
ご意見、伺いたいところです。
2008年4月より、病理診断科の標榜が可能となりました。
いうまでもなく、病理診断は、がんの最終診断行為であり、治療に直結する重要なキーポイントになっています。病理診断は平成元年(1989年)にすでに「医行為」と認定されていますので、検査技師が行う他の多くの検査とは重みづけがずいぶん異なります。この点に異論を挟む医師はいないでしょう。
ちなみに、病理診断には、生検(組織)診断、術中迅速診断、細胞診断および病理解剖が含まれます。
そう。病理診断は、決して単なる検査ではないのです!
従来、病理診断科の標榜が認められず、医療保険の中で、「病理検査」は長く、検査の一部に甘んじていました。それが、昨年から診療報酬でも「病理診断」が独立項目となり、検査から分離されました。
医行為である病理診断を、「病理検査」と位置づけることの“違法性”を厚労省が重視した結果の制度変更でした。
つまり、臨床検査技師法配下の「病理検査」から、医療法配下の「病理診断」へと考え方・取り扱いが修正(ノーマライズ)されたのです。病理診断科は、内科、外科や小児科と並ぶ臨床科として認定されたのです。この点は、日本病理学会30年来の念願でもありました。
いいかえれば、「病理検査」という考え方は誤りであり、医療の中で重要度の高い診断行為のひとつである「病理診断」ということばに変えてゆかねばなりません。これは、日本病理学会の考えでもあり、国(厚労省)の方針でもあるのは自明です。
今後は、病理検査や細胞診検査ではなく、病理診断、細胞診断としなければなりません。
患者さんに対する治療が決定される過程における、病理診断や細胞診断の重要性を患者さんによりよく、より深く知ってもらうために、旧態依然たる用語はもう死語にしてほしいものです。
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病理診断科標榜と病理医の新しい役割(外部リンク)
病理診断科標榜の決定を受けて 〜今、病理医がなすべきこと〜(外部リンク)


「医学のあゆみ」に掲載されたものです。下記よりダウンロードしてお読みください。
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